住まいづくりとは、人という生き物のための巣作り作業。「人に最も適した環境を提供する」という視点で建築に取り組む村岡組デザインは、適切な住まいの構え方によって、人が本来持つ「自然治癒力」を高めることができると考えている。そのための第一歩が揮発性有機化合物(VOC)を含む建材や、木工用ボンドを排除するシックハウス症候群対策。そして、大がかりな機械に頼らず、断熱技術や設計セオリーで目指す快適な温熱環境。健康と同時に環境にも配慮した住宅は、広く捉えると存在自体が「予防医療」となる。このK邸は、そんな哲学に共感した医療に携わる施主のための住まいだ。
要望に合わせて築いていく、その家族オリジナルの住み心地が、注文住宅の醍醐味。一つひとつの空間が、住み手の希望を叶える職人の手仕事の集合体である手づくりの家は、設計から施工までに時間を要する。たくさんの職人が手がけ、ゆっくりと熟成するように完成した家は、だからこそ家族の「たからもの」となる。施主のKさん夫妻が、新居に求めたオリジナルは、所有するたくさんの本と共存できる暮らし方。親子ともに、どこにいても本を手に取れるよう、手の届く高さのコの字型の本棚がリビングにも設置された。まるで図書館のような空間で、コンサバトリーの壁に沿ったアールのカウンターが、子どもたちの勉強机に。本棚やキッチンの食器収納など、家中の家具がオーダー製作によるこの家のための一点物だ。掃除がしやすいように、という要望にあわせて、飽きのこないシンプルな形状で統一されている。ご主人の故郷へUターンするKさん一家のために築かれたこの北国の新居が、明るく暖かく、家族の静かな時間を守り続けていく。
敷地面積 886.12㎡(268.05坪)
延床面積 190.69㎡(57.68坪)
1階面積 127.76㎡(38.64坪)
2階面積 62.93㎡(19.03坪)