「草木が風に揺れる様子を部屋からぼんやりと眺める。誰にも気兼ねなく、ゆったりと時間を過ごせる自分たちだけの空間があったなら」。住まいを新築する動機にそんな願いがあったと話す施主のIさん。求める癒やしの空間を叶えてくれそうな施工会社という予感をそのままに、夫妻の望み通りの住まいが完成した。住宅地の一角にゆったりと取られた駐車場とアプローチ。その先に門のように構えるエントランス部分が、中庭と住空間を庇うようにして佇んでいる。ドアを開けると、ゆったりとした奥行きと面の色使いで空間を効果的に見せる玄関ホール。正面の地窓からは坪庭の緑がのぞき、風にゆらめいて訪れた人を出迎える。室内は無垢材の床や左官仕上げの塗りの壁など、自然素材をふんだんに用いた「茶×白」の清楚な印象のインテリア。LDKの広い窓面には、中庭の木々の緑が大きく写し出されている。リビングに身を置くと、窓側と壁側の明るさの対比に感じる得も言われぬ心地良さ。そこには夫妻が住まいに望んだ静謐な時間が流れていた。
癒やしの空間には、不便を感じない機能性も欠かせない要素だ。この住まいは将来の暮らしやすさを考慮して「居・食・浴・寝」を1階部分に配置し、コンパクトな動線を実現しており、これが忙しい夫妻の今の生活にも役立っている。書架を設けた屋根裏風ギャラリーや、ひとつは欲しいと思っていた和室など、日々の優先性が低い部分は2階へ。「当初は平屋を希望していましたが、クランドさんの提案で一部を2階建てにしました。コストバランスや暮らしの楽しみ方が広がったという点でも正解でした」とIさん。リビング階段と吹き抜けで上下のフロアはオープンにつながっているが、I邸は高性能グラスウールによるダブル断熱仕様で、冬は熱を外に逃がさず、夏は外からの熱の侵入を防ぐため、室内の温度差はほとんど感じず、冷暖房費も低く抑えられる。同社の目指す「本物の格を感じさせる住まいづくり」は、こうした機能のハード面の上に、心地良く暮らすための空間デザインというソフト面が加わって形になっている。
敷地面積 325.78㎡(98.72坪)
延床面積 105.92㎡(32.09坪)
1階面積 63.55㎡ (19.25坪)
2階面積 42.37㎡ (12.83坪)