この家の魅力を説くにあたり、まずは外装に使用されている杉材の説明から始めたい。ヨシの家が杉材の使用を推奨する理由は、家に愛着を持ってもらうためだ。長く飽きずに住むためには、建物への愛情が不可欠で、長い時を経てうづくりの風貌に深まる木材は、そんな愛情の種となる、良い経年変化を日ごとに備えていく。昔はどの家の外壁にも使われていた杉板が、ほとんど見えなくなってしまったのは、天然の木や石などの建築素材に似せ、加工してつくられた住宅用建材が代替えしてきたから。それらはただ古くなり、まるごと取り替える以外に、使用継続のための手立てがない。そうした建て替えの連鎖を断ち切り、いつまでも飽きない素材で、長く暮らせる家を提供することが、住み手にとって最良であると考えている。木材は高価なイメージがあるが、杉材はリーズナブルな外装材であると話すヨシの山田社長。何年経っても入手可能なシンプルな材料で、傷んだ部分だけを張り替えてメンテナンスができる、パフォーマンスに優れた点も魅力だ。
25坪というコンパクトな坪数を微塵も感じさせない、この伸びやかな住空間には、三世代の大人3人と愛犬が暮らしている。少子高齢化の進む日本において、動物と共にある感性豊かな暮らしを求める人は増加傾向で、同時に一方的に可愛がる愛玩動物から、家族と共に生活する頼れるパートナーとして、その存在の重みも変化してきた。この住まいは、愛犬の息抜きと人の安らぎのための芝生の庭や、愛犬の安全と安心のための造作工事、体感温度の違いを埋めるために個室ごとに設けた冷暖房設備など、犬も人も、一緒に暮らす者同士が、良い関係で助け合うために必要な仕掛けが、建築によって施されている。「ペットを飼う」のではなく、「ペットと暮らす」ことに主眼を置いた、人と犬のための共生住宅だ。
敷地面積 330.83㎡
延床面積 82.81㎡
1階面積 44.71㎡