寒くて長い冬、大半を家の中で過ごす北国の私たちにとって、インテリアは豊かな暮らしのための大切な要素だ。空間の演出に趣向を凝らした伊藤建友の「アンティークスタイルの家」は、女性設計士による生活動線に配慮したプランに加え、随所にその家の特徴となるような造作を取り入れたオーダーメイド住宅。外観デザインの多くは洋瓦や塗り壁が多いが、豪雪地帯の横手市に建つこのS邸は、自然落雪する片流れ屋根や大きな外物置、外形から見て室内へ向けて凹状に取った深い軒のあるベランダなど、雪に配慮した外観形状。深い緑色の金属サイディングと木調の外壁の色彩が、自然豊かな土地柄になじんでいる。玄関ドアを開けると、室内は白壁とナチュラルな素材でコーディネートされたやわらかな印象の空間。約7帖の玄関ホールの広さは、来客の多い施主Sさんの希望によるものだ。モダンなインテリアの和室とリビングへの扉が玄関ホールの左右に控え、床暖房のおだやかな暖かさの空間が広がっている。
24帖ものLDKは、ゾーンごとに違った居心地が楽しめるよう、建物の屋根勾配を生かしながら天井高を変化させている。畳の小上がりには小空間の落ち着き、ダイニングには吹き抜けと天窓のある解放感、キッチンにはひとつながりとなったその緩急を一望する見晴らしと、それぞれ異なる居心地を計画。それによって、つながった全体を抑揚のある空間に仕上げた。我が家としての愛着を感じさせるインテリアにこだわりながら、収納の配置や容量、実用を重視したシステムキッチンのセレクトなど、生活に根ざした目線による配慮もぬかりない。キッチンは広い主寝室と隣合わせ、その先には洗面所と浴室、そこから玄関へとつながっており、1階は行き止まりのない回遊動線。2階フロアには子ども室と納戸が配され、夫婦二人の生活は平屋のように1階だけで完結する設計だ。ストレスのない動線と日常に豊かさを感じさせるインテリアは、雪に閉ざされる長い冬、室内の時間が多い雪国でこそ、その価値が切実に感じられる。
敷地面積 341.36㎡(約103.26坪)
延床面積 135.81㎡(約41.08坪)
1階面積 99.37㎡(約30.06坪)
2階面積 36.44㎡(約11.02坪)