Y邸のリビングはとても静かだ。市街地とは思えないほどに、車通りを感じない。屋根の形状に沿ったデザインのハイサイドライトは周囲の木々を映し、天窓からは柔らかな明かりが届く。三方が隣家に接しているのに、その存在が気にならないのは、開口の配置が考え込まれているからだ。この静けさの第一の功労者といえるプライベートガーデンは、車寄せの先にある重厚な構えのゲートが守っている。門から玄関までのアプローチは、石盤が見せる端正な存在感と、植栽のゆらぎが気持ち良く調和し、訪れる人の目を楽しませると同時に、そこにたやすく足を踏み入れることを許さない厳格さを持っている。この敷地の奥行きを生かしたプランニングがY邸のリビングに静寂をもたらすのだ。子どもたちの友人が集うと、この庭はたちまち遊び場に変わる。「家の周囲を一周できるので、みんなで走り回っています。車も気にしなくていいので有り難いです」と奥さん。外でのびのびと遊べる環境は、昨今では貴重な場となった。当たり前では得られない静けさや安全という環境が、建築によってつくられている。
以前は古い社宅に暮らしていたYさん一家。見学会で訪れたクランドの建物に共感して今の環境がある。この新居がとても気に入っていると話す奥さん。「雰囲気はもちろんですが、建物の住み心地に驚いています。玄関に入ったところから暖かいし、夏は弱い冷房で家全体がひんやり感じます」住まいへの要望は、リビングに接した和室や家事動線など、色々な場所に反映されている。設計者が特に気を配ったのは、子育て中のYさんの負担をできるだけ軽くする家事動線と収納の配し方。水回りは一直線に連なり、収納も使う場所に分散させて配置した。子どもたちがリビングで遊ぶ取材日も、室内は生活感を感じさせない整然さ。和室の押入れやリビングのテレビボードと一体となった大きな収納が、遊び盛りの子どもたちの物量を引き受けている。家事がはかどる快適さに合わせて、キッチンのレンガ貼りの追加など、工事が始まってからでも、要望への対応が迅速なことが信頼に繋がったと話す奥さん。理想的なものづくりの関係のもと、理想を上回る新居が完成した。
敷地面積 308.37㎡(93.44坪)
延床面積 128.24㎡(38.86坪)
1階面積 73.59㎡(22.30坪)
2階面積 54.65㎡(16.56坪)