片側一面の窓と板張りの外装で住宅地に建つこの住まいは、ゼロエネルギー住宅の著書を持ち、全国で活躍する能代市の建築家、西方里見氏の自邸だ。設計コンセプトは「死なないための家」。寒さの厳しい秋田県では風呂場の温度差を原因とした死亡者数が毎年200人を超え、交通事故死のおよそ5倍にのぼる。同じ不幸に見舞われた知人が4名を数えた今年、65歳を迎えた建築家は健康で長生きするために自宅を新築した。施工は長年のパートナーである能代市の池田建築店。著書も多数持ち、日本の省エネルギー建築の第一人者と目される、35年のキャリアの集大成であるこの住まいは、これから普及を目指すプロトタイプでもあり「簡単・簡易・簡素」が意識されている。性能は追求しながら、簡単な設備と素材を用い、簡易な組み立てによって簡素に暮らせる家。無駄がなく質素であることを表す「簡素」は、この家の冷暖房設備も指している。床下に置いた普及版のエアコン一台で、夏も冬も快適に過ごせるという建物の秘密に迫ろう。
敷地面積235.17㎡(71.26坪)
延床面積142.41㎡(43.00坪)
1階面積66.24㎡(20.00坪)
2階面積57.96㎡(17.50坪)
ロフト面積(1.4m以下) 18.21㎡(5.50坪)